ご依頼主は、当初新築を望んでおり、リノベーションという考えを持ち合わせていなかった。そこから様々な縁があり、中古物件を購入してリノベーションする方向で話が進んでいくことになった。
物件は築50年超えの平屋で、長年放置されていたため所々修繕が必要であったが、躯体はしっかりしていた。また、物件価格が比較的安価で潜在的な価値があり、リフォーム費用を含めても新築と比べてトータル金額が抑えられることができ、室内には、花柄の化粧天井等、懐かしい昭和の趣が感じられることも魅力の一つだった。
計画は、内装や設備の更新を中心にして、さらに耐震性能の向上と部分的な断熱工事も併せて検討し、住まいの性能向上にも配慮した。当初はリノベーションのイメージが湧かなかったお施主様だが、打ち合わせをする中で、リノベーションの魅力に気付いて頂けたようで、内装工事は、部分的にお施主様と一緒にDIYをしながら進めていった。お施主様は休日になると、小学校の娘様と一緒に現場へ足を運び、壁や床をペンキで塗ったり、ふすまや障子を張ったりといった作業を行い、初めての体験であったが、娘様も「すごく楽しかったです」と刺激的な経験になったようで、お施主様も「一つの作業が終わる度に達成感が湧き、家への愛着が増していきました」と楽しんで頂いた。 インテリアについても、昭和の古家具をやすりをかけて再生し、家の雰囲気に合うように整えた。 また、DIYワークショップを開催し、イベントに参加した方々と一緒に作業をすることで、多くの方々がプロジェクトに関わって頂いた。こうして生まれ変わった平屋は、改修前の状態が想像できないほど綺麗になり、昭和レトロな雰囲気を残した、可愛らしい空き家再生PROJECTとなった。